プロレスは反則技が頻出する。
あれ? これは反則じゃないの? と試合の最中に疑問に思うことも多い。
初めてプロレスを見るときは、何が反則で何かOKなのかわからず混乱してしまうにちがいない。プロレスはスポーツだ。厳格に反則技が規定されている。反則は許される行為ではない。
初心者の人でもわかりやすく主な5つの反則技の紹介をしよう。
この5つの反則さえ覚えておけば、プロレスをより楽しむことができる。
凶器攻撃
プロレスでは、凶器での攻撃をしてはいけない。
そんなことは言われなくてもわかる気がする。でも、不届きなプロレスラーには、ちゃんと伝えておかないとわかってもらえないようだ。
しかし、ルールを明確に伝えているにも関わらず、レフェリーの隙を見て、凶器攻撃をしかける者がいる。なぜなら、彼らは不届きなレスラーだからだ。そもそも、入場時に凶器を持参して入場してくる。もう使う気満々で入場してくる。フィンレー選手はシレイリという棍棒を持参して入場してくる。殴る用途しかない道具を持参してくるなんて、殴る気満々だ。
いちばんメジャーな凶器攻撃は、パイプ椅子だ。大一番になると椅子だけではなく、机も凶器として使われる。ヒールレスラーにとっては、オフィスは凶器天国である。
急所攻撃
プロレスではどこを攻撃してもいいように思うかもしれない。しかし、急所への攻撃は禁止されている。急所は、どんなに鍛えても強化できないのだ。
急所にもさまざまな部位がある。特に金的攻撃がねらわれやすい。今の金的トレンドは腕で股間をかちあげる形だ。後ろからでも前からでも、リバーシブルでどちらからでもいける。EVIL選手、矢野選手が金的代表選手だ。得意としている。得意としちゃいけないが、得意としている。
そのほか、首の頸動脈を締めるチョーク攻撃、目を指で突くサミング攻撃、噛みつき攻撃なども反則とされる。また、耳をちぎろうとしたり、指二本以下を折ろうとする行為も反則となる。反則というか、もはや犯罪だ。
エル・ファンタズモ選手は乳首をつねる乳首攻撃もしていたが、これも反則とされていた。乳首も急所になるらしい。ただし、NOAHの杉浦選手への乳首責めは、全く効かない。杉浦の乳首は頑強だ。
ロープブレイクを無視する
プロレスではロープブレイクというエスケープ方法がある。
関節技やフォールを取られている際に、体の一部がロープ外に出ていれば、技を解除させることができる。これがロープブレイクだ。しかし、相手がそのロープブレイクを無視して、関節技や締め技を続けると反則行為となる。
内藤哲也選手や金丸義信選手は、ロープブレイクを無視して、関節技が外れないとアピールする。関節がからまっちゃって外れないとアピールする。なかなか外そうとしない。レフェリーが何度注意しても、なかなか技を外さない。しかし、レフェリーの反則カウントが始まると、すぐさまスッと外す。
レフェリーも注意してないで、すぐに反則カウントを早く取ればいいのにと思う。しかし、今回こそは言うことを聞いてくれるかもと、まずは注意をする。選手を信じたいのだ。レフェリーは推定無罪、疑わしきは罰せずの精神が大切なようだ。
乱入
乱入とは、試合を組まれていない選手が、試合に介入することだ。そりゃあ、やっちゃダメに決まっている。そんなことしたら試合のカードの意味がないもの。
しかし、HOUSE OF TORTUREは基本的に、セコンドにいる全員で戦う。連帯感のあるユニットだ。シングルマッチだろうと、タイトルマッチだろうと乱入する。彼らの絆が強いことの証である。
彼らの手口は巧妙だ。1人乱入してレフェリーが注意をしに行ってる隙に、他の選手が乱入して複数人で攻撃を仕掛ける。毎回、同じ手口を繰り返されている。レフェリーは気が付かない。気が付かないんだから仕方がない。
乱入する選手たちを排除するために、他の選手が乱入してくることがある。目には目を、乱入には乱入を、だ。そして、その瞬間に会場のボルテージは最高潮になる。乱入されるとストレスがたまるが、一掃されるとスッキリする。乱入にはサウナと同じ効果がある。
レフェリーへの暴行
プロレスの試合において、レフェリーは絶対的な存在である。
試合の公平性を保つために大切な役割を果たしている。そのため、レフェリーへの暴言、暴行は許されない行為とされている。レフェリーは一般人だ。レスラーとは違う。レスラーからの攻撃は危険でもある。
しかし、実際の試合では、レフェリーへの暴行が少なくない。押しつぶされ、投げ飛ばされ、ときには低空ドロップキックをくらったりする。レフェリーを排除して、反則をやりたい放題するためだ。明らかな暴行はすぐに反則になるが、偶然を装うからタチが悪い。
レフェリーへの暴行は、観客からも非難の声が上がる。特に解説席にいるミラノさんは「さいっていー!」と怒りを露わにする。しかし、暴行されたにも関わらず、レフェリーは反則を取らない。そんなことしたら試合が終わっちゃうからだ。痛みに耐えて公平に試合を進行するために命を削っている。
最後のルール
ここまで5つの反則をみてきた。これらは反則行為で厳格に禁止されている。
でも、5カウント以内なら全部OK。
だから、ほとんど反則負けになることはない。プロレスは寛容なのだ。反則やりたい放題ということだ。
何度、反則を繰り返すレスラーがいても、同様にチャンスは与えられる。前科があるからといって差別的な扱いはしない。プロレスは寛容なのだ。
新日本プロレス「鬼十則」
実は、新日本プロレスには、反則についての明確なルールが存在が定義されている。公式ページからそちらを参照してみよう。
一. 体のいずれの箇所をもナックルパート(正拳)で殴打してはならない。
プロレスリング競技者規約 第三章 競技者の禁止事項
二. 頭髪、トランクス(タイツ)を掴んではいけない。
三. 指で目を突く、鼻を掴む、口の中に手を入れる、耳を引っ張る、噛みつく等をしてはならない。
四. 股間の急所を握ること、蹴ること、殴ることはならない。
五. 手、足の指を掴む場合は、三本以上でなくてはならない。
六. 爪先でのキックはいかなる箇所にも許されない。肘、膝の鋭角的攻撃も許されない。
七. 関節技に入って競技者がギブアップの意思表示、もしくは失神した場合は、相手競技者はブレークする。またはレフェリーはブレークさせねばならない。
八. 競技者の体の一部がロープに触れている場合、相手競技者はブレークする。またはレフェリーはブレークさせねばならない。
九. リング内外を問わず器物(試合進行の妨げとなる危険物)を使って相手競技者に危害を加えてはならない。
十. 故意に相手競技者を場外フェンスにぶつけてはならない。
頭髪、タイツをつかんではいけない!? 場外フェンスにぶつけてはいけない!?
反則だったのか!毎試合でほぼ行われている。オカダ選手も毎試合反則しているじゃないか。よく考えたら猪木の必殺技はナックルパートとチョークスリーパー。そう、反則技だ。そんなことはどうでもいい。プロレスは自由だ。
ルールは守るためにあるんじゃない。破るためにある。
1大会で、どれくらいの反則行為が行われているかカウントしながら観戦してみてはどうだろうか。それも、プロレスの新たな楽しみ方かもしれない。