今年も『NEW JAPAN CUP』がやってくる。花粉と共にやってくる。また今年も春がやってきた。
そこで新日本プロレスの春の風物詩『NEW JAPAN CUP』を楽しむために、過去の全試合を集計してみた。そこから何が見えてくるのか。それとも何も見えないのか。結果はわからないが、とにかく集計してみた。集計がしたいだけなのだ。
『NEW JAPAN CUP』とは
まずは『NEW JAPAN CUP』を知らない人に向けて、簡単に説明しよう。
『NEW JAPAN CUP』は2005年から新日本プロレスで始まった「春のG1」と呼ばれるシングルマッチのトーナメント戦である。要するにその時に「いちばん強いのは誰か」が決まる上半期のビッグイベントである。
『NEW JAPAN CUP』は2023年で19回目の開催を迎える。2005年からといえば、YouTubeが開設された年でもある。YouTubeと『NEW JAPAN CUP』は同期なのだ。
また、『NEW JAPAN CUP』はトーナメント戦のため、対戦カードによる運が多少影響してくる。一回戦でオカダと激突したら絶望的な気分になるし、一回戦がTAKAみちのくだったらラッキーと思うかもしれない。そこがリーグ戦である『G1 CLIMAX』と違う点だ。
『NEW JAPAN CUP』の優勝者は、IWGPのタイトルマッチへの挑戦権与えられる。2023年は4.8の両国国技館でIWGP世界ヘビー級王座への挑戦が決まっている。
今回の決勝戦は『アオーレ長岡』。 2017年から3年連続決勝戦の舞台だったが、2020年はコロナで大会が中止となり、7月に大阪城ホールで開催となった。決勝の舞台としてはアオーレ長岡は4年ぶりだ。
長岡の優勝決定戦には、一体どの選手が進出することになるのだろうか。そして、両国国技館で世界ヘビーへ挑戦するのは誰なのか。今から楽しみだ。
『NEW JAPAN CUP 2023』出場選手
2023.3.5の後楽園ホールより『NEW JAPAN CUP 2023』が開幕する。
今年の『NEW JAPAN CUP』の参加選手は24選手。
しかし、ジェイ・ホワイトはもういない。ヒクレオもいない。バッドラック・ファレもいない。鈴木みのるもいない。タイトルマッチが決まっていたオカダも棚橋も出場していない。
しかし、現チャンピオンの参加は多い。
『NEVER無差別級王者』タマ・トンガ、『KOPW2023王者』鷹木信悟、『NJPW WORLD 認定TV王者』ザック・セイバーJr.、『STRONG無差別級王者』KENTA、前『IWGP USヘビー級王者』ウィル・オスプレイ、『IWGPタッグ王者』の毘沙門も参加する。とにかくチャンピオンが多いってこと。
そして、カイル・フレッチャー、マーク・デイビスがいる。海野がいる。成田がいる。
新しい春風も吹いている。オージーオープンのシングルマッチが見れるだけで嬉しすぎる。
『NEW JAPAN CUP 2023』の注目選手
早く集計結果を見せろと思うかもしれないが、その前に『NEW JAPAN CUP 2023』の注目選手をみてみたい。『NEW JAPAN CUP』では、数々の妄想ストーリーが実現する可能性がある。まあ、毎年勝手に妄想している訳なんですが。
まずはSANADA。
最近のSANADAはスランプに陥っている。本人もバックステージコメントで「今のままではいけないと思う。だからこそ今のままではいけないと思っている。」と口にするほど悩んでいる。
SANADAの場合、「NEW JAPAN CUP」で優勝して殻を破ってIWGP世界ヘビー戦線に出てくるか、初戦のタイチに破れてJUST 4 GUYSに5人目の男として入ってしまうのかの究極の二択じゃないかと勝手に考えている。
決勝の地はSANADAが日本で一番好きな場所「長岡」。SANADAが優勝するのに相応しい場所だ。
次に注目したいのはデビッド・フィンレー。
2.18のジェイ・ホワイトの新日本プロレス追放マッチの試合後に、突如現れて同期のジェイを殴りつけた。そして、ジェイに向かって「俺がお前からすべて奪ってやる!」とマイクパフォーマンス。
さらにサンノゼ大会の直前の海外メディアのインタビューでは、「IWGP世界ヘビー級のチャンピオンになる」と答えている。フィンレーが並々ならぬ決意を持って『NEW JAPAN CUP』に参戦してくることは間違いない。
フィンレーのマイクパフォーマンスの意味はなんだったのか答えが出るのが『NEW JAPAN CUP』なのかもしれない。
初参戦であるマーク・デイビス、カイル・フレッチャーにも注目だ。
“オージーオープン”のタッグとして昨年大活躍していた2人が参戦。新日本では初のシングルマッチとなる。マーク・デイビスは勝ち進むとウィル・オスプレイとの同門対決になり、カイル・フレッチャーはライバルでもある毘沙門とのシングル対決が待ち構えている。IWGPタッグへの遺恨が生まれる予感しかしない。
そして、若手選手にも注目したい。注目が多い。
成田蓮、海野翔太である。2022年に新日本プロレスに戻ってきて今ノリにのノっている2人だ。
海野は勝ち進めばザックとの戦いもあり、NJPW WORLD認定TV王座へ絡める可能性が高い。成田はEVIL、ジェフ・コブと強敵が立ちはだかっている。これを突破していけば優勝決定戦は成田 vs 海野 なんていうキラキラした展開もなくはない。それはそれで胸熱でドラマチックだ。
だがしかし、実際はそんなにドラマチックなことにはなかなかならない。
今までの『NEW JAPAN CUP』のデータを振り返りながら、リアルな予想をしてみたい。過去の対戦成績の勝率で誰が優勝するのかシミュレーションしてみたいと思う。
『NEW JAPAN CUP』の全対戦データ
まずは『NEW JAPAN CUP』の2022年までの18回のサマリーデータを集計してみた。
総試合数344試合
のべ参加選手数96人
平均試合時間14分44秒
なんと今まで96選手も参加している。
この人数が多いのか、少ないのかはよくわからないが、なんとなく多い気がする。プロレスラーの名前96人言ってみろと言われても、なかなか出てくるもんじゃない。だから多いに決まっている。
でも、そもそも毎年の『NEW JAPAN CUP』の参加人数がどれくらいかわかっていない。そこで、年毎の『NEW JAPAN CUP』の参加選手数の推移をグラフ化してみる。
2005年から2018年までは、参加選手はほぼ16選手と相場が決まっていた。しかし、何を思ったのか2019年に『NEW JAPAN CUP倍増計画』が発動し、参加選手は一気に32選手となった。さらに2022年には、50周年ということもあり、参加人数の限界へチャレンジして48選手での開催となった。(実際は、飯伏と天山が負傷欠場で46選手)
これは明らかに増やし過ぎである。EXILEより遙かに増えている。やり過ぎだ。
2023年は、冷静さを取り戻し24選手の参加に半減した。ちょうどよい感じだ。ギリギリ覚えられそうな気持ちにさせてくれる。
2023年で『NEW JAPAN CUP倍増計画』は一旦終了し、『NEW JAPAN CUP』は第二章に突入したのだ。第二章がなんなのかは、全くまだわかっていない。
『NEW JAPAN CUP』の歴代優勝者のデータ
歴代の優勝者たちの出場回数と優勝回数を見てみよう。優勝率でランキング形式にしてみた。
優勝率とは、優勝回数 / 出場回数 の公式で算出する勝手に作った用語である。つまり、出場回数に対しどれくらい優勝しているのか、という大会に対しての強さのひとつの指標だ。
RANK | NAME | 出場回数 | 優勝回数 | 優勝率 |
---|---|---|---|---|
1 | ザック・セイバーJr. | 5回 | 2回 | 40% |
2 | オカダ・カズチカ | 6回 | 2回 | 33% |
3 | 柴田 勝頼 | 3回 | 1回 | 33% |
4 | ウィル・オスプレイ | 3回 | 1回 | 33% |
5 | 飯伏 幸太 | 4回 | 1回 | 25% |
6 | 後藤 洋央紀 | 14回 | 3回 | 21% |
7 | ジャイアント・バーナード | 6回 | 1回 | 16% |
8 | EVIL | 6回 | 1回 | 16% |
9 | 棚橋 弘至 | 13回 | 2回 | 15% |
10 | 中邑 真輔 | 7回 | 1回 | 14% |
11 | 永田 裕志 | 15回 | 2回 | 13% |
12 | 内藤 哲也 | 10回 | 1回 | 10% |
錚々たるメンバーの中、頭一つ飛び抜けているのがザック・セイバーJr.だ。なんと出場回数5回中2回も優勝している。もし、今回も優勝したら出場回数6回で優勝3回。優勝率50%という驚異的な数字になる。
優勝回数が一番多いのは、『春男』後藤洋央紀の3回。しかし、出場回数も多いため優勝率としては低い。意外なのは、棚橋よりも出場回数が多いということだ。チャンピオンは『NEW JAPAN CUP』に参加しない時期があったので、その辺りの影響かもしれない。オカダの出場回数が少ないのは、オカダがチャンピオンの時期と『NEW JAPAN CUP』の時期がかぶっていたからである。
『NEW JAPAN CUP』の対戦勝率ランキング TOP10
2022年までの全18回の『NEW JAPAN CUP』での全対戦成績から、参加選手の勝率ランキングにしたのがこちらだ。
公式戦を5試合以上している選手を対象としている。
Rank | Player | 計 | 勝 | 敗 | 分 | Rate |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ウィル・オスプレイ | 13 | 11 | 2 | 0 | 84.6% |
2 | デビッド・フィンレー | 11 | 9 | 2 | 0 | 81.8% |
3 | オカダ・カズチカ | 21 | 17 | 4 | 0 | 81% |
4 | 柴田 勝頼 | 8 | 6 | 2 | 0 | 75% |
5 | 高橋 ヒロム | 8 | 6 | 2 | 0 | 75% |
6 | SANADA | 27 | 20 | 7 | 0 | 74.1% |
7 | ザック・セイバーJr. | 18 | 13 | 5 | 0 | 72.2% |
8 | 飯伏 幸太 | 10 | 7 | 3 | 0 | 70% |
9 | 後藤 洋央紀 | 41 | 28 | 13 | 0 | 68.3% |
10 | 棚橋 弘至 | 33 | 22 | 11 | 0 | 66.7% |
ウィル・オスプレイ、ザック・セイバーJr.、オカダ・カズチカが勝率80%以上と他を圧倒している。今年はオカダが参加していないので、順当に行くとオスプレイvsザックの優勝決定戦ということになるのだろうか。外国人同士の決勝戦は一度もないので、それはそれでみてみたい。
この勝率ををもとに優勝者をシミュレーションしてみよう。
『NEW JAPAN CUP2023』優勝予測
では、 『NEW JAPAN CUP』での勝率と、今回のトーナメントの過去の対戦成績から、『NEW JAPAN CUP2023』の優勝者を導き出してみたいと思う。一切の忖度がないリアルな過去の対戦成績による確率だ。
以下の方程式で算出した勝率の高い方の選手を、勝者とする。
初対戦の場合は、[ NEW JAPAN CUPの勝率 ] が高い方が勝者とする。
勝率 = [ NEW JAPAN CUPの勝率 ] × [ 対戦相手との勝率 ]
※NEW JAPAN CUP公式戦が1戦以下の場合は50%で算出
※対戦成績データがない場合は50%で算出
勝利の方程式のシミュレーション結果が、こちらだ。
シミュレーションの結果は優勝決定戦はEVIL vs ザック・セイバーJr.で、ザックが3回目の優勝となった。おめでとう!ザック!!シン・春男はザック・セイバーJr.だ。
こんなことを言うのもアレなんだが、EVILが頑張り過ぎててイマイチ盛り上がりに欠ける。金的で勝ち上がった2020年の実績が、思いのほか影響している。
どうせなら優勝決定戦はオスプレイ vs ザックが見たかった。でも、EVIL vs オスプレイの対戦成績は1勝0敗でEVILが100%なのだから仕方がない。データは嘘をつけない。
EVIL以外は比較的それっぽい結果な気がする。
さあ、過去の対戦データ通りなのか、NEW JAPAN CUPを楽しんでいこう!