2023年2月22日、ルチャ・リブレの祭典『ファンタスティカマニア』が3年ぶりに開催する。2020年まで10年続いたイベントが再開される。グラシアス!
コロナ禍に新日本プロレスのファンになった人には、あまり馴染みがないかもしれない。
でも、安心して欲しい。
ファンタスティカマニアは何も知らなくても面白い人気イベントだ。
あまり知らない選手が出てきて、あまり知らない技をする。そして、各選手の背景も確執も何にも知らなかったりする。
それでもリング上の戦いだけで面白い。
だから、何も知る必要はない。楽しみ方なんか知る必要がないのだ。
アディオス!
と言いたいところだが、少しだけ知っていた方が、より楽しめるに違いない。
なのでファンタスティカマニアについて情報をざっと集めてみた。
なんせ生まれて初めて最前列チケットを取ってしまったのだ。試合当日用にマスクを買うかどうかも検討している。せっかくなので、少しだけルチャを知って骨の髄まで楽しもう。
ファンタスティカマニアってなに?
ファンタスティカマニアとは、メキシコのプロレス団体『CMLL』と『新日本プロレス』による、年に1回のルチャ・リブレのプロレス合同興行である。
CMLLの選手たちが新日本プロレスに派遣され、リングでルチャ・リブレの試合を見せてくれる祭典である。
いつもの新日本プロレスとは全く違う、明るく楽しいお祭り騒ぎとなる。いつもの新日本が暗いってわけではなく、メキシコのプロレスが底抜けに明るいのだ、セニョリータ。
初めてファンタスティカマニアが開催されたのは2011年。最初は後楽園ホール2連戦のみの小さな大会だったが、徐々に開催場所や日程を増やしていき、新日本プロレスの年明けの定番イベントとなった。
2011年から2020年まで10年連続で「FANTASTICA MANIA」は開催されたが、2021年はコロナ禍となり大会は実施されず。2023年は実に3年ぶりのルチャの祭典の開催なのである、セニョール。
CMLLってどんな団体なの?
『CMLL』とはメキシコのルチャ・リブレ団体で、世界最古のプロレス団体だ。どれくらい最古かというと1933年に発足。なんと90年前である。ナチス・ドイツが成立した年でもある。もはや歴史的な古さなのである。
CMLLが所有する「アレナ・メヒコ」「アレナ・コリセオ」という2つの会場は、「ルチャ・リブレの2大聖地」と呼ばれており、毎週ルチャ・リブレの試合を見に大観衆が詰めかける。ちなみに「アレナ・コリセオ」は創業者であるサルバドールが、個人的に買った宝くじに当たって建設されたらしい。私も今年は年末ジャンボを買って、プロレス会場を建設したいと思う。
メキシコのプロレスは「ルチャ・リブレ」と呼ばれ、メキシコでは大人気の大衆娯楽となっている。メキシコ全土にはルチャ・リブレの選手が3000人いるとも言われており、CMLLには常時150人以上のレスラーがいるらしい。だから、新日本に選手を少しくらい貸し出しても、痛くも痒くもない。ファンタスティカマニアの期間も、メキシコ本土では普通にCMLL大会が行われている。AKB48よりもはるかに選手層が厚いのである。
また、CMLLには多くの日本レスラーが遠征に行っている。
三沢光晴、大仁田厚、北斗晶、下田美馬、朱里、中邑真輔、棚橋弘至、内藤哲也、高橋ヒロム、オカダ・カズチカ、田口隆祐・・・とても書ききれない。もしかしたら全員かもしれない。それくらい日本人レスラーにとっても、「CMLL」という団体は縁が深いのである。
CMLLは、世界のプロレス界に大きな影響を与える偉大な団体なのだ。アミーゴ。
CMLLの公式YouTubeチャンネルはこちら。でも見ない方が、当日に驚きをもって楽しめるかも。
ルチャ・リブレってプロレスと違うの?
ルチャ・リブレ(Lucha Libre)とは「Lucha(戦い)」と「Libre(自由)」の単語からなる「自由な戦い」という意味だ。すごくエモい。この言葉が好きで、実は密かに人生のテーマを「自由な戦い」にしている。こっそりとこのサイトのロゴにもLucha Libreを入れてある。
「ルチャ・リブレ」は基本的にはプロレスと同じだ。プロレスの一種で「メキシカンプロレス」のことを「ルチャ・リブレ」と呼ぶ。
ルールは新日本プロレスと違う点が、いくつかある。
ルチャ・リブレのリングはスプリングがないため、パイルドライバーやDDTのような頭から落とす危険な技は使用禁止となっている。
試合は3ラウンド制が多く、2ラウンド先取した方が勝ちとなる。日本でも、2018年に行われた「オカダ・カズチカ vs ケニー・オメガ」の無制限3本勝負が強烈に記憶に残っている。ただ、ファンタスティカマニアでは1ラウンド制が採用されている。
また、タッグマッチでは通常、選手が交代する場合「タッチ」することが必要だ。しかし、ルチャ・リブレのタッグマッチでは、試合権のある選手がリング外に出たら、「タッチ」をせずともリングに入った選手に試合権が移る。
トペ・スイシーダなどの空中殺法をした後、すぐに別の選手がリングに入って試合権が移るため、スピーディな展開になる。どこを見ていいかわからなくなるし、誰に試合権があるのかはレフェリーしかわかっていない
ちなみに「トペ・スイシーダ」は日本語に訳すと飛び降り自殺。ルチャ・リブレでは、ほぼ毎回飛び降り自殺が行われている。
そして、ルチャ・リブレでは男女混合マッチが多く行われる。なんならオネエもいる。今回も可愛いオネエがCMLLから刺客として送り込まれてくる。前回は鷹木選手の唇を狙っていたが、今回は果たして誰の唇が狙われるのだろうか。
いつもの新日本プロレスと少し違う「ルチャ・リブレ」。いつもと少し違う新日本プロレスのレスラーも見れるかもしれない。
ルチャ・リブレ用語
ルチャ・リブレを観戦する上で、重要なワードをいくつか紹介しておこう。
ファンカスティカマニア参加選手
さあ、そんなファンタスティカマニア2023の出場選手はこちら!
公式ホームページのリンクも掲載しておこう。公式では「FANTASTICA MANIA 2022」になっているけど、「FANTASTICA MANIA 2023」の間違いだ。
どどーん!
・ミスティコ 〜 “銀と金の王”
・ボラドールJr. 〜 “スカイウォーカー”(CMM世界トリオ王座)
・ウルティモ・ゲレーロ 〜 “最強親分”(CMLL世界ヘビー級チャンピオン)
・ティタン 〜 “エル・インモラルタル”
・OKUMURA 〜 “戦慄の逆輸入ルード”
・バルバロ・カベルナリオ 〜 “予測不能な原始人”
・ソベラーノJr. 〜 “天空のプリンス”
・ドゥルセ・ガルデニア 〜 “みんなのハニー”
・テプラリオ 〜 “ライオン戦士”
・アトランティスJr. 〜 “大陸王者二世”
・エチセロ 〜 “火炎の魔術師”
・レイ・コメタ 〜 “8年ぶりの参戦”
・マヒア・ブランカ (初出場)
・スイシーダ (初出場)
・イホ・デル・ビジャノ3号 (初出場)
どうだろう!? このメンバーを見て何を思うだろうか!
とにかく、私が最初に思ったのは「全く名前を覚えられない」ということだ。人間の脳は4つ以上は覚えられないようになっている。でも、安心して欲しい。何も知らなくても楽しめるから。
ということで、個人的に注目の3選手をご紹介しよう。
ミスティコ〜銀と金の王
ミスティコはスーパースター「スペルエストレージャ」だ。存在感、オーラが一味違う。なんせ「銀と金の王」なのである。銀だけじゃない。金でも王なのだ。意味はわからないけど、なにかとすごい輝きは伝わってくるはずだ。
ミスティコは、2009年にIWGPジュニアヘビー王座にも輝いている。あの獣神サンダーライガー相手に防衛戦にも成功している超実力者でもあり、古くから活躍するレジェンドだ。メキシコでは国民的英雄なのである。
キャリアも長く、CMLLで「ミスティコ」として活躍した後、WWEでリングネーム「シン・カラ」として活躍。その後、AAAと契約し「ミステシス」となり、CMLLに戻ってきて「カリスティコ」になった。そして今は「ミスティコ」だ。
ミスティコ→シン・カラ→ミステシス→カリスティコ→ミスティコ。
ややこしいが、つまり「ミスティコ」は「ミスティコ」なのである。
ちなみに「2代目ミスティコ」は「初代ドラゴン・リー」だ。ややこしい。そして、高橋ヒロムと戦ったのは「2代目ドラゴン・リー」。ああ、ややこしい。
必殺技は「ラ・ミスティカ」。くるくる回って腕をこう、グイっとするやつだ。石森選手が得意とするミスティカ式の元祖である。
ウルティモ・ゲレーロ〜最強親分
2022年で50歳を迎えたウルティモ・ゲレーロ。CMLLではルードのパワーファイターとしてずっと活躍している。ゲレーロ一族の親分である。
選手としてのみでなく、ジムでも厳しい指導をしていて、かなり周りから恐れられている。初登場のマヒア・ブランカやテンプラリオも、ゲレーロ親分のジムで練習を積んできている。引退後のことを考えて不動産経営もしているようだ。
2020年に来日したときは、ウルティモ・ゲレーロの持つCMLL世界ヘビー級王座に、小島聡が挑戦。見事、小島選手相手に防衛を果たしている。
ウルティモ・ゲレーロの試合中のパフォーマンスは、両手で何かを持ち上げてピョンピョンする。これがなんだかすごく楽しい。一緒にやっていると楽しい気分になってくる。ぜひ仕事中でも、次の会議室に移動するときなどに、親分のパフォーマンスを取り入れて、憂鬱な気分を吹き飛ばして欲しい。
ウルティモ・ゲレーロは声援が少ないと帰っちゃうので、出場してきたらみんなで大きな声援を送ろう。「親分」って応援すると、反応してくれる。
必殺技は「ゲレーロスペシャル」。強めの雪崩式ブレーンバスター。
ドゥルセ・ガルデニア
2019年にデビューしたドゥルセ・ガルデニア。
メキシコ遠征中のカワトサンと「カベジェラ・コントラ・カベジェラ」の敗者髪切りマッチを実施していた過去もある。
そんなドゥルセ・ガルデニアは、ひとことでいうと「オネエ系レスラー」。見ているとどんどん可愛くなってきてしまう。試合の勝敗なんかより、対戦相手とベソ(キス)をすることが目的で日本にやってくる。
前回のターゲットはロス・インゴベルナブレス。内藤哲也、BUSHI、高橋ヒロム、鷹木信悟の唇が犠牲となった。鷹木選手に至っては10秒以上の濃厚なベソ。今年はどうなるのか、とても楽しみだったが、残念ながら新日本選手との対戦が組まれていないようである。みんなが本気で共演NGを出したのかもしれない。でも、味のある選手なので楽しみだ。
必殺技は「ベソ」。威力は計り知れない。
まとめ
色々と調べてはみたものの、そんなこと関係なく楽しめる。お祭り騒ぎだ。
目の前で繰り広げられるルチャの動きを、ただただ堪能しよう。
もっと詳しく知りたい人は、元井美貴さん(通称:ミキティコ)のYouTubeを見てもらうのが一番いい。とにかく詳しい。詳しすぎる。あまりにルチャ・リブレの愛が深すぎて、話が全然進まない。コメントに全部反応してくれるから、話が脱線しまくる。2時間もある。ファンの鑑だ。