『G1CLIMAX』完全ガイドブック:歴代優勝者と全対戦成績

データで楽しむプロレス

プロレスファンの皆さん、熱い夏がやってくる!!
今年も真夏の祭典『G1CLIMAX』がやってくる!!

毎年、この季節が楽しみで仕方がない。『G1 CLIMAX』が終わると、途端に年末までG1ロスになり、働く意欲が湧かなくなる。それくらいG1の激闘はファンの心に深く刻まれる。

この記事では、そんな『G1 CLIMAX』の歴代優勝者から全対戦成績まで、G1の全貌を徹底分析をしてみよう。リング上での熾烈な戦いを数字で見てみよう。

さあ、一緒にG1の歴史を紐解いていこう!

※集計期間:2007/5〜2024/9の新日、STARDOMの試合

『G1 CLIMAX』とは

『G1 CLIMAX』とは1991年に第1回が開催された新日本プロレス最大の夏のシングルマッチのトーナメント戦である。近年では約1ヶ月近くある長いシリーズだ。「プロレス界で最も長く過酷なリーグ戦」とも言われている。優勝決定戦では両国国技館で行われるのが恒例だ。

過酷と言われているだけあり、ガチガチでバッチバチの屈指の名勝負が量産される。その代償として、シリーズ後半では多くの選手が負傷を抱えながらの戦いとなる。まさにプロレスラー生命を賭けた戦いが繰り広げられるのが、『G1 CLIMAX』なのだ。

複数のブロックに分かれてリーグ戦を行い、各リーグの上位選手で決勝トーナメントが行われる。リーグ戦は勝利をすると2点、敗北は0点、時間切れなどの引き分けは両者に1点が加点される。ノーコンテストの場合は両者0点となる。リーグ戦が終わって、同点の選手は直接対決で勝った方が決勝トーナメントへ進出の権利を得る。2009年には、同率1位をコイントスで決められたこともある。

また、IWGPチャンピオンが優勝することは少なく、95年の武藤敬司、2000年の佐々木健介の2回しかない。チャンピオンは優勝できないというジンクスがある。2024年も内藤選手は優勝できないに違いない。

そして『G1 CLIMAX』の優勝者は、翌年1.4東京ドームのメインイベントで、IWGPタイトルマッチが行われるのが恒例となっている。つまり、優勝すると一気に新日本の中心に躍り出ることができるのである。ただ、『NEW JAPAN CUP』と違いリーグ戦のため、優勝するにはそれまでの実力・実績が必要となる。その証拠に優勝者はシングルタイトルマッチの実績を持つ人たちばかりである。『G1 CLIMAX』での優勝は、IWGP王者になるよりも過酷で狭き門となっている。

『G1 CLIMAX』歴代優勝者

回(年)優勝(年齢)準優勝(年齢)参加数
第1回
(1991)
蝶野 正洋(27)武藤 敬司(28)8
第2回
(1992)
蝶野 正洋(28)リック・ルード(33)16
第3回
(1993)
藤波 辰爾(39)馳 浩(32)16
第4回
(1994)
蝶野 正洋(30)パワー・ウォリアー(28)12
第5回
(1995)
武藤 敬司(32)橋本 真也(30)8
第6回
(1996)
長州力(44)蝶野 正洋(32)10
第7回
(1997)
佐々木 健介(30)天山 広吉(26)14
第8回
(1998)
橋本 真也(33)山崎 一夫(35)16
第9回
(1999)
中西 学(32)武藤 敬司(36)12
第10回
(2000)
佐々木 健介(34)中西 学(33)20
第11回
(2001)
永田 裕志(33)武藤 敬司(38)12
第12回
(2002)
蝶野 正洋(38)高山 善廣(35)12
第13回
(2003)
天山 広吉(32)秋山 準(33)12
第14回
(2004)
天山 広吉(33)棚橋 弘至(27)16
第15回
(2005)
蝶野 正洋(41)藤田 和之(34)16
第16回
(2006)
天山 広吉(35)小島 聡(35)10
第17回
(2007)
棚橋 弘至(30)永田 裕志(39)12
第18回
(2008)
後藤 洋央紀(29)真壁 刀義(35)14
第19回
(2009)
真壁 刀義(36)中邑 真輔(29)14
第20回
(2010)
小島 聡(39)棚橋 弘至(33)16
第21回
(2011)
中邑 真輔(31)内藤 哲也(29)20
第22回
(2012)
オカダ・カズチカ(24)カール・アンダーソン(32)18
第23回
(2013)
内藤 哲也(31)棚橋 弘至(36)20
第24回
(2014)
オカダ・カズチカ(26)中邑 真輔(34)22
第25回
(2015)
棚橋 弘至(38)中邑 真輔(35)20
第26回
(2016)
ケニー・オメガ(32)後藤 洋央紀(37)20
第27回
(2017)
内藤 哲也(35)ケニー・オメガ(33)20
第28回
(2018)
棚橋 弘至(41)飯伏 幸太(36)20
第29回
(2019)
飯伏 幸太(37)ジェイ・ホワイト(26)20
第30回
(2020)
飯伏 幸太(38)SANADA(32)20
第31回
(2021)
オカダ・カズチカ(33)飯伏 幸太(39)20
第32回
(2022)
オカダ・カズチカ(34)ウィル・オスプレイ(29)28
第33回
(2023)
内藤 哲也(41)オカダ・カズチカ(35)32
第34回
(2024)
ザック・セイバーJr.(37)辻 陽太(30)20
【最年少優勝】- オカダ・カズチカ(24歳)
【最年長優勝】- 長州力(44歳)
【最長決勝戦】- 飯伏 幸太 vs SANADA
(00:35:12 カミゴェ)
【最短決勝戦】- 佐々木 健介 vs 天山 広吉
(00:08:09 ノーザンライトボム)

【初出場初優勝】 – 後藤洋央紀(2008年)、オカダ・カズチカ(2012年)、ケニー・オメガ(2016年)
【最多連続優勝】 – 2回:蝶野正洋、天山広吉、飯伏幸太、オカダ・カズチカ
【最多出場】- 22回:棚橋弘至
【最多連続出場】- 22年:棚橋弘至

2023年までの優勝者の平均年齢は33.8歳。20代での優勝はたったの5回。蝶野正洋2回、後藤洋央紀1回、オカダ・カズチカ2回となっている。2014年のオカダ選手以降は、20代の優勝は出てきていない。20代の選手にとって、『G1 CLIMAX』優勝はかなり厳しいようだ。

平均年齢をもう少し深掘ってみよう。2014年の直近5年の優勝者の平均年齢は30.2歳。2023年の直近5年の優勝者の平均年齢は36.6歳。この10年間で、G1優勝者の平均年齢がなんと6歳もあがっている。G1優勝者も高齢化社会が進んできているようだ。このまま行くと『爺1 CLIMAX』になってしまう。

また、レインメーカーショック以降の『G1 CLIMAX』の優勝者は、内藤哲也、棚橋弘至、飯伏幸太、ケニー・オメガ、オカダ・カズチカの5名しかいない。そのうち、オカダ、ケニー、飯伏が既にAEWへ移籍。2024年は棚橋選手はG1に出場できず。また、IWGPチャンピオンである内藤選手はG1のジンクスで優勝できない(勝手に決めるな)。
となると、2024年の『G1 CLIMAX』優勝者は、初優勝の選手になる確率がかなり高い。つまりそれは、初の東京ドームのメインイベントとなる。新日本プロレスに大きな変革の波が押し寄せているようだ。

『G1 CLIMAX』優勝回数ランキング

Name優勝回数準優勝回数決勝進出回数
蝶野 正洋516
オカダ・カズチカ415
棚橋 弘至336
天山 広吉314
内藤 哲也314
飯伏 幸太224
佐々木 健介202
中邑 真輔134
武藤 敬司134
中西 学112
ケニー・オメガ112
後藤 洋央紀112
永田 裕志112
真壁 刀義112
橋本 真也112
小島 聡112
長州力101
藤波 辰爾101
ザック・セイバーJr.101
山崎 一夫011
リック・ルード011
ウィル・オスプレイ011
カール・アンダーソン011
高山 善廣011
馳 浩011
辻 陽太011
ジェイ・ホワイト011
秋山 準011
パワー・ウォリアー011
SANADA011
藤田 和之011

【最多優勝】- 5回:蝶野正洋
【最多準優勝】- 3回:棚橋弘至、中邑真輔、武藤敬司

蝶野選手の5回優勝って尋常じゃない偉業だ。そりゃあ「夏男」と呼ばれるわけだ。

過去33回行われた『G1 CLIMAX』の中で、歴代の優勝者は18名。複数回の優勝したのは7名。そして、その7名でなんと合計22回も優勝をかっさらっている。一人平均は3.14回の優勝である。優勝する人は何度も優勝するが、優勝できない人はなかなかできない、という「G1格差」が広がっているようだ。

準優勝の選手も見てみよう。歴代の準優勝は26名。複数回準優勝している選手は4名のみ。優勝と比較すると、多くの選手が準優勝を経験できているようだ。ただし、それでも一部の選手であることは間違いない。

決勝進出者の平均決勝進出回数は2.3回。優勝経験者の平均決勝進出回数は3.1回。複数優勝経験者の平均決勝進出回数は4.5回。複数回優勝者は、平均決勝進出回数が2倍もある。ここでも「G1格差」が見てとれる。

「G1格差」を是正するためには、初出場初優勝のような大きな衝撃が必要である。「G1格差」と言ってみたが、それの何が悪いのかはよくわかっていない。

【直近10年】『G1 CLIMAX』対戦勝率ランキング TOP30

『G1 CLIMAX』での全対戦成績から、参加選手の勝率ランキングにしたのがこちらだ。直近10年の2014年からの対戦成績を集計している。
公式戦を10試合以上している選手を対象としている。

RankPlayerRate
1オカダ・カズチカ937020375.3%
2中邑 真輔20155075%
3AJスタイルズ19145073.7%
4ケニー・オメガ29209069%
5ジェイ・ホワイト342311067.6%
6飯伏 幸太573720064.9%
7内藤 哲也925834063%
8ザック・セイバーJr.704426062.9%
9ウィル・オスプレイ352114060%
10棚橋 弘至885234259.1%
11EVIL784632059%
12デビッド・フィンレー241410058.3%
13カール・アンダーソン19118057.9%
14ジェフ・コブ492820157.1%
15柴田 勝頼281513053.6%
16辻 陽太19108152.6%
17SANADA784038051.3%
18KENTA392019051.3%
19バッドラック・ファレ613130050.8%
20鷹木 信悟502523250%
21後藤 洋央紀964650047.9%
22タマ・トンガ502326146%
23鈴木 みのる371719145.9%
24石井 智宏853946045.9%
25成田 蓮1677243.8%
26マイケル・エルガン351520042.9%
27グレート-O-カーン311318041.9%
28真壁 刀義461927041.3%
29エル・ファンタズモ22913040.9%
30ジュース・ロビンソン421725040.5%

勝率ランキング1位は、オカダ・カズチカ選手。やはりレインメーカー強し。
特筆すべきは、オカダ選手はG1で3回も引き分けがある。2013年を含めるとオカダ選手はG1 CLIMAXで合計4回の時間切れ引き分けがあるようだ。内訳は鈴木みのる選手と1回、棚橋弘至選手がなんと3回! 棚橋 vs オカダは30分では決着がつかないようだ。

そして、悲しいことにTOP10の選手のうち、2024年現在の新日本プロレスに在籍している選手は、内藤、EVIL、ザックの3名しかいない。残りの選手はすべてWWE、AEWへ移籍している。脂の乗った年齢での移籍になるため、中間層が抜ける。G1優勝者の高齢化の要因のひとつと言えるかもしれない。AEWは、新日に若くてイキのいい選手を送り込んでくるべきだ。全然、Win-Winじゃない。

また、TOP10のうち外国人選手が5名もランクインしている。50%がなんと外国人選手なのである。AJ、ケニー、ジェイオスプレイ、ザックと錚々たるメンバーがランクインしている。にも関わらず、歴代の外国人優勝者はでケニー・オメガ選手1名のみ。東京ドームのメインイベントで外国人選手が一度も勝利したことがないのと同様、外国人選手にとってG1 CLIMAXの優勝は高い壁となっているようだ。

2024年こそザック・セイバーJr.選手に期待したいところでもある。

まとめ

  • 『G1 CLIMAX』優勝者の平均年齢は33.8歳。近年は「G1高齢化」が進んでいる。
  • 蝶野選手はガチで「夏男」
  • G1複数回優勝するひとは、平均3回も優勝している。「G1格差」が広がっている。
  • 勝率は高い外国人選手でも、G1優勝は難しい。ザックファイト!