新日本プロレスのタッグ戦線でトップを走る「毘沙門」。その毘沙門を、今や引っ張っているのが、YOSHI-HASHI選手だ。
毘沙門はYOSHI-HASHI選手が前に出て、後藤選手が後ろに回るバランスの取れたチーム。天然キャラの二人が組むとこんなに強くなるとは。YOSHI-HASHI選手と後藤選手の掛け合いも、Twitterトレンドに載るくらい話題となっている。「タメ口問答」は新日本プロレス史上、最高のバックステージコメントだ。今年のM1グランプリに出てほしいくらいである。
今やタッグの名手となっているYOSHI-HASHI選手だが、そのポジションを掴むには、かなりの時間を要した。どのような軌跡を経て、今のポジションを築いたのか。プロフィールや対戦成績データから迫ってみたいと思う。
YOSHI-HASHI
団体 | 新日本プロレス |
ユニット | CHAOS |
生年月日 | 1982/5/25 ( 42 才) |
出身地 | 愛知県/愛知郡東郷町 |
デビュー | 2008/7/6 ( 16 年) |
デビュー戦 | 内藤哲也 |
得意技 | カルマ、頂狩、KUMAGOROSHI |
身長 | 180 cm |
体重 | 102 kg |
血液型 | O 型 |
入場曲 | HEAD HUNTER |
@YOSHIHASHICHAOS | |
好きなもの | ウイニングイレブン、ONE OK ROCK、サンボマスター、スイカ、地酒 |
YOSHI-HASHIのパラメータ
YOSHI-HASHI選手は、真っ直ぐに戦うとにかくバランスのとれたレスラーである。
大きな選手をカルマで軽々と投げるパワーもあるし、シングルマッチでも粘りある戦いをみせスタミナも申し分ない。説得力のあるオリジナルのフィニッシュホールドも持っている。全体としてバランスがいいレスラーだが、逆に言うと何かに特化しているわけではない。駆け引きや戦略などもあまりなく、まっすぐに愚直にプロレスをしている。YOSHI-HASHI選手の人柄が戦い方に出ているんだろうなと思う。
試合中の声量はすばらしい。大会中、どの選手よりもいちばん大きな声を出している。コロナ禍で声援禁止の時も、会場中にYOSHI-HASHI選手の声が響いていたことが印象的だ。技を繰り出すたびに雄叫びをあげ、気合が入っていることを感じさせる。
マイクパフォーマンスをすることは多くはない。ひとたびYOSHI-HASHI選手がマイクを持つと、「空前絶後のざんまい」という誰もやり方がわからない締めをするハメとなり、パシッとは締まらない。しかし、YOSHI-HASHI選手の絶対的な「陽」の人柄で、会場が多幸感に包まれる。本当にいい人なんだと思う。KENTA選手に「ブス」って言われても、怒るどころかつい笑ってしまう。本当にいい人だ。
YOSHI-HASHI選手で欠かせないのは、その逆水平チョップの音だ。TV観戦でも大きいかもしれないが、会場だとよりチョップの衝撃が臨場感を持って伝わってくる。新日本プロレスでは、逆水平チョップの1番の使い手かもしれない。YOSHI-HASHI選手のチョップ音はMAX10だ。
YOSHI-HASHIの必殺技『カルマ』
YOSHI-HASHIのムーブ
選手名コール時のアピール
コーナーポストで両手を広げて「うおーーーーー!」と叫ぶ
決めセリフ
「物事が変わるのは、一瞬だ」2014.9.5の後楽園ホールで生まれた言葉
先月までの最新試合結果
2024.10.12 かみす防災アリーナ | ||
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本間 朋晃 KUSHIDA 後藤 洋央紀 ケビン・ナイト YOSHI-HASHI | VS | ゲイブ・キッド デビッド・フィンレー クラーク・コナーズ ドリラ・モロニー 外道 |
0:12:12 バタフライロック |
2024.10.11 佐久市総合体育館 | ||
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YOSHI-HASHI KUSHIDA 本間 朋晃 後藤 洋央紀 ケビン・ナイト | VS | ドリラ・モロニー 外道 ゲイブ・キッド デビッド・フィンレー クラーク・コナーズ |
0:12:24 バタフライロック |
2024.10.10 毎日興行アリーナ久喜 | ||
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後藤 洋央紀 ケビン・ナイト YOSHI-HASHI KUSHIDA 本間 朋晃 | VS | ドリラ・モロニー 外道 ゲイブ・キッド デビッド・フィンレー クラーク・コナーズ |
0:11:58 バタフライロック |
YOSHI-HASHIの年表
年月日 | できごと |
---|---|
2008.7.6 | 新日本プロレスで内藤哲也戦でデビュー |
2010.6.13 | 無期限海外遠征でメキシコ『CMLL』でヒールとして活躍 |
2011.12.28 | YOSHI-HASHIがヘビー級へ転向し、『CHAOS』加入 |
2012.1.4 | 凱旋帰国しオカダ・カズチカと対戦し敗北。リングネームを『YOSHI-HASHI』に改名 |
2018.9.23 | ジェイ・ホワイトの裏切りにあったオカダの救出時に転倒して大流血。長期欠場。 |
2019.1.5 | 後楽園ホール大会で復帰 |
2020.8.9 | 後藤、石井、YOSHI-HASHIが第21代『NEVER無差別級6人タッグ王座』戴冠 |
2021.8.10 | 『NEVER無差別級6人タッグ』最多防衛記録9回、最長試合時間36分56秒を記録。 |
2021.12.15 | 後藤、YOSHI-HASHIが『WORLD TAG LEAGUE』初優勝 |
2022.1.4 | 後藤、YOSHI-HASHIが第92代『IWGPタッグ王座』初戴冠 |
2022.7.5 | 後藤、YOSHI-HASHI、YOH組が第93代『NEVER無差別級6人タッグ王座』初戴冠 |
2022.12.14 | 後藤、YOSHI-HASHIが『WORLD TAG LEAGUE』2連覇 |
2023.6.4 | 後藤、YOSHI-HASHIが第4代『STRONG無差別級タッグ王座』初戴冠 |
2023.12.10 | 毘沙門が『WORLD TAG LEAGUE』を3連覇 |
YOSHI-HASHI選手のプロレス人生の道のりは困難だった。
2005年に新日本プロレスの入門テストを受けたが不合格。その2年後、2007年に再度入門テストを受け合格。2008年に内藤選手を相手に念願のデビューを飾る。最初の入門テストからデビューまでに3年の月日がかかった。しかし、デビューを果たしたものの結果がなかなかついてこず、メキシコ団体「CMLL」に海外遠征に出る。
しかし、凱旋帰国も華々しいものではなかった。
2012年、海外遠征からオカダ・カズチカとダブル凱旋帰国。東京ドームでオカダ選手と対戦することになる。圧倒的なオカダ選手の前にYOSHI-HASHI選手は4分37秒レインメーカーで散ることになる。事実上、レインメーカー爆誕の噛ませ犬となってしまった。オカダという大スターと、同じ日に凱旋帰国となってしまったのは不幸としか言わざるを得ない。
そこから長らくYOSHI-HASHI選手は低迷が続く。2014年にCHAOS vs BULLET CLUBのイリミネーションマッチで勝利。「物事が変わるのは、一瞬だ」という名言を残し、タイトルマッチへのチャンスを掴む。しかし、一瞬は訪れなかった。
その後も、YOSHI-HASHI選手は地道に実力をつけ、何度かタイトルマッチのチャンスも掴むものの、タイトルには手が届かなかった。
そして、2020年。EVILの裏切りにより返上されたNEVER無差別級6人タッグ王座決定トーナメントに後藤選手・石井選手と出場し、優勝。ついに初タイトルを獲得する。デビューから12年である。そして、NEVER6人での経験が自信となり、次のタイトル獲得・IWGPタッグ王座へとつながっていく。後藤選手も石井選手もYOSHI-HASHI選手を全面に押し出して、チャンピオンとしての経験を積ませていたのが印象的だ。
そこからのYOSHI-HASHI選手は、後藤選手という最高のパートナーを得て、一気にタッグ戦線のトップに躍り出る大活躍。「物事が変わるのは、一瞬」だが、その裏には長い年月の努力が必要なのだ。
YOSHI-HASHIの全対戦成績
年別の勝利数、敗北数、引分数、勝率の推移。Total | Win | Lose | Draw | Rate |
---|---|---|---|---|
1580 | 750 | 823 | 7 | 47.5% |
合計試合時間 | 321:52:36 |
平均試合時間 | 0:12:13 |
メインイベント回数の推移
年別のメインイベントの回数、メインイベント率をグラフ化。メインイベント率が高いほど、メインイベンターとして重宝されている。Main Count | Main Rate |
---|---|
272 | 17.2% |
フィニッシュホールドTOP5
YOSHI-HASHI選手のフィニッシュホールドを集計してランキング。Rank | Finish | Count |
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1 | バタフライロック | 136回 |
2 | カルマ | 46回 |
3 | 消灯 | 38回 |
4 | スワントーンボム | 26回 |
5 | GYW | 7回 |
YOSHI-HASHI選手の勝率の推移を見ると、彼の弛まぬ努力を感じる。
デビューからじんわりと右肩上がりの勝率。2012年の凱旋帰国の年は、勝率が良かったものの、翌年2013年の勝率は26%。そこから2016年に勝率50%を超えてから、一度も50%以下になっていない。2022年にはデビューから14年かけて最高勝率66%を記録する。
一方で、メインイベント回数・メインイベント率は大きく減少している。勝率は上がっているものの、メインイベンターとしての道は、まだ厳しいようだ。
フィニッシュホールドはバタフライロックが、他の技に大差をつけている。
YOSHI-HASHIのシングルマッチ勝率
シングルマッチの年別の勝利数、敗北数、引分数、勝率の推移。Total | Win | Lose | Draw | Rate |
---|---|---|---|---|
196 | 56 | 140 | 0 | 28.6% |
合計試合時間 | 37:00:01 |
平均試合時間 | 0:11:19 |
YOSHI-HASHIのシングル対戦TOP5
YOSHI-HASHI選手とシングル対戦数の多い順でランキング。Rank | Player | 計 | 勝 | 敗 | 分 | Rate |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | オカダ・カズチカ | 13 | 0 | 13 | 0 | 0% |
2 | 平澤 光秀 | 9 | 0 | 9 | 0 | 0% |
3 | EVIL | 8 | 3 | 5 | 0 | 37.5% |
4 | 内藤 哲也 | 7 | 0 | 7 | 0 | 0% |
5 | 田口 隆祐 | 6 | 0 | 6 | 0 | 0% |
デビュー戦以降、シングルマッチでは2年間、1勝もすることができなかった。凱旋帰国後も2013年、2014年と1勝もできていない。そもそも、凱旋帰国したのにシングルマッチが組まれていない。YOSHI-HASHI選手にはチャンスも与えられていなかった。
しかし、2016年に念願のG1初参戦が決まる。そこから年間のシングルマッチの回数は増え、勝率も少しずつ伸びていっている。2019年には最高勝率66%まで伸びている。
とはいえ、対戦成績は散々だ。1勝もできていない選手が多くいる。今後、1度も勝てていない選手たちから、いつ勝利できるのか注目である。
ちなみにジェイ・ホワイト選手には、2勝1敗で勝ち越している。
YOSHI-HASHIのタッグマッチ勝率
タッグマッチの年別の勝利数、敗北数、引分数、勝率の推移。Total | Win | Lose | Draw | Rate |
---|---|---|---|---|
461 | 225 | 234 | 2 | 48.8% |
合計試合時間 | 88:45:24 |
平均試合時間 | 0:11:33 |
YOSHI-HASHIのタッグパートナーTOP5
YOSHI-HASHI選手とタッグ組んだ回数順に、タッグパートナーをランキング。Rank | Player | 計 | 勝 | 敗 | 分 | Rate |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 後藤 洋央紀 | 111 | 79 | 31 | 1 | 71.2% |
2 | オカダ・カズチカ | 108 | 44 | 64 | 0 | 40.7% |
3 | 石井 智宏 | 45 | 27 | 18 | 0 | 60% |
4 | 矢野 通 | 36 | 24 | 11 | 1 | 66.7% |
5 | 中邑 真輔 | 18 | 7 | 11 | 0 | 38.9% |
タッグマッチは2013年以降、確実に勝率が伸びていっている。コロナ禍の2020年は調子が悪かったようだが、2022年には71%という驚異的な勝率である。
後藤選手とのタッグ「毘沙門」は今や最強タッグのひとつだ。世界的にも強いFTR、オージーオープン、TMDKと戦っても全く引けを取らない。以外にも、矢野選手とのタッグも勝率がよいようだ。
YOSHI-HASHI ベストバウト
超個人的かつ評価の高い試合をピックアップ。タッグの格を上げた毘沙門のベストバウトと、ジャイアントキリングの一戦を紹介。
※NJPW WORLDリニューアルのため、リンク先は見れません。
▼後藤洋央紀&YOSHI-HASHI VS オカダ・カズチカ&棚橋弘至
2023.3.6 大田区総合体育館 IWGPタッグ選手権試合
▼後藤洋央紀&YOSHI-HASHI VS マーク・デイビス&カイル・フレッチャー
2023.4.8 両国国技館 IWGPタッグ選手権試合
▼YOSHI-HASHI VS ケニー・オメガ
2016.7.22 後楽園ホール 「G1 CLIMAX 26」公式戦
YOSHI-HASHI 関連グッズ
YOSHI-HASHI選手のおもしろグッズが見当たらないので、オーソドックTシャツを紹介。毘沙門Tシャツはかっこいい。
まとめ
タッグプレイヤーとしては、頂点を極めたと言ってもいいYOSHI-HASHI選手。今後もいつまでタッグタイトルに絡み続けられるかが注目である。
一方、シングルマッチではまだこれといった実績を残せていない。しかし、シングルマッチ全敗だった頃の「YOSHI-HASHI選手は弱い」という印象はもはやなく、今ではYOSHI-HASHI選手の一瞬にみんな期待をしている。その証拠に、YOSHI-HASHI選手の試合が始まると、X(旧Twitter)には「YOSHI」と「HASHI」が別々でトレンド入りする。シングルでの活躍もぜひ期待したい。
デビューからタイトル獲得まで12年。最初の新日本入門テストからだと15年。彼は器用に物事をこなすタイプではない。レインメーカーと一緒の凱旋帰国など不遇な環境の中でも、一切諦めることなく、ずっと愚直に自分を信じて努力をし続けたに違いない。
「物事が変わるのは、一瞬だ」
その一瞬には15年の努力の歴史があることを忘れてはいけない。YOSHI-HASHI選手がこれからもまだ変わり続けるのか、とても楽しみだ。
それでは、一緒に素晴らしきプロレスライフを!