2024年から2025年にかけて、スターダムは多くの主力選手を失った。マリーゴールドへの大量離脱、主力選手の退団や引退。ファンとしては「これからスターダムは厳しくなっていくのでは」と、不安を感じたのも正直なところだ。
しかし、その空白を埋めるかのように一人の偉大なヴィランが誕生した。上谷沙弥である。
ワールド・オブ・スターダム王座戴冠。
23年ぶりとなる地上波での女子プロレス生放送。
そして、女子プロレスラー史上初のプロレス大賞MVP受賞。
上谷沙弥の存在が一気にスターダムの空気を変え、2025年後半、スターダムの観客動員数は絶好調へと転じていく。
スターダムの主な退団選手
まずは、24〜25年にスターダムを退団した選手を振り返る。
| 日付 | 選手 | 退団後 |
|---|---|---|
| 2024/3/31 | ジュリア | マリーゴールド移籍→WWE移籍 |
| 2024/3/31 | 林下詩美 | マリーゴールド移籍 |
| 2024/3/31 | MIRAI | マリーゴールド移籍 |
| 2024/3/31 | 桜井まい | マリーゴールド移籍 |
| 2024/3/31 | 弓月 | マリーゴールド移籍 |
| 2025/3/31 | 白川未奈 | AEW移籍 |
| 2025/4/27 | 中野たむ | 引退 |
| 2025/4/27 | テクラ | 解雇→AEW移籍 |
| 2025/4/27 | 岩谷麻優 | マリーゴールド移籍 |
岩谷麻優、中野たむ、ジュリア、林下詩美はいずれもワールド・オブ・スターダム王座の戴冠経験者。
スターダムの中心を担ってきたスター選手たちだ。その主力が一気に離脱。さらに2025年は、舞華、朱里、スターライト・キッド、羽南といった主要選手の欠場も重なっている。普通に考えれば、かなり厳しい条件だ。
それでも——2025年のスターダムは、数字の上では“絶好調”と言っていい。
2025年 スターダムの年間観客動員数
2025年のスターダムの観客動員数は10万7,187人。
ついに、年間10万人の大台を突破した。
2024年は離脱の影響が大きく、観客動員数は前年比19%減。しかし2025年はそこから完全に持ち直し、
過去最多だった2023年と比較しても9%増となっている。なお、バックヤード面では2024年6月28日付で新日本プロレスリングが完全子会社化。経営体制の変化も、安定感につながっていると考えられる。
てか、コロナ禍のスターダムの成長がエグい…
2025年 スターダムの年間大会数
では、大会数はどれくらい増えたのだろうか。
大会数は2024年とほぼ同数で、高水準のまま横ばい。注目すべきは、運営体制が変わって以降、選手の体調不良や治療による「数日単位の欠場」が増えている点だ。無理をさせず、休養を優先する方針が見て取れる。大会数は多いが、ブラックな環境にはなっていなさそうだ。
2025年 スターダムの平均観客動員数
では、1大会あたりの平均観客動員数はどうなっているのだろうか。
2025年の平均観客動員数は、過去最高を記録している。
特に象徴的なのがビッグマッチだ。
- 4.27 横浜アリーナ:7,503人(過去最高)
- 12.29 両国国技館:6,563人(過去2番目)
スターダム史上の動員数1位・2位を2025年に記録している。中野たむの引退試合がスターダムの過去最高の動員数となった。上谷沙弥は中野たむの呪いを背負って戦い続けることとなりそうだ。
続いて2025年の観客動員数は
- 8.23 大田区総合体育館:2,856人(5★STAR GP決勝)
- 5.31 大田区総合体育館:2,837人(なつぽい&安納10周年)
- 6.21 国立代々木競技場:2,521人(朱里 vs Sareee)
と続いている。これらの大会が、平均動員数を大きく押し上げた。
スターダムの観客動員数別の割合
スターダムの大会の内訳を、観客動員数別で集計してみた。
観客動員数が300人未満の大会は水色に、500人未満は緑、1000人未満はオレンジ、1000人以上の大会は赤に、色分けしている。赤っぽい色ほど、観客動員数が多い大会ということだ。
2025年は1000人以上を動員した大会数が過去最多となっている。
特に後楽園ホール大会は全19大会すべてが1000人超え。平日は満席に届かない日もあるが、休日開催では満員札止めとなる大会も出てきている。ビッグマッチだけでなく、中規模会場でも安定して集客できる体制が整ってきたと言えそうだ。
2026年はチケットが取りづらくなってくるかもしれない…それはそれでちょっと困る。
まとめ
- 主力大量離脱という逆風
- 上谷沙弥という強烈な軸の誕生
- ビッグマッチと平均動員の大幅更新
この3点が、2025年スターダムを象徴している。
「誰がいなくなったか」より「誰が時代を作ったか」。2025年のスターダムは、その答えが数字ではっきり出た一年だった。
上谷一強時代ではあるが、プロレスは好敵手に恵まれなければ面白くない。スターダムには上谷のライバルとなりうる魅力的な選手が多いからこそ、上谷の闇の力が輝いているのである。2026年のスターダムからますます目が離せなくなりそうだ。
では、2025年よ!永遠にさようなら!

